そんな発見でノーベル賞なんですか?

今年のノーベル経済学賞は、
カード教授とアングリスト教授と
インベンス教授の3名でした。

 

ノーベル賞を取ると、
その人が研究していた内容が、
分かりやすく紹介されるので、
いつもノーベル経済学賞を
楽しみにしています。

 

普通に論文を読んでも
分かりませんから・・・

 

今回の3名は「自然実験」を用いて
社会の問題を解明しました。

 

「自然実験」は何か?というと・・・

 

サンプルをとるのではなく、
実際に社会で起こっている現象から、
原因と結果を観察することにより
因果関係を見つけ出す手法だそうです。

 

3名のうちの一人、カード教授は、
ファストフード店の賃金と雇用の関係を調査し、
最低賃金が上がっていたお店と、
変化がないお店を比較して、
雇用の傾向に差がないことを突き止めました。

 

これで何が言えるのか?というと・・・

 

最低賃金を上げても雇用は減らない!
ということです

 

普通に考えれば、
最低賃金が上がれば、
雇用主はコストを下げようとして
雇用を抑えようとするはずです。

 

しかし、実際は、
そうではないということを
論理的に証明してみせました。

 

たしかに、日本においても、
ここ数年、最低賃金が上がっていますが、
相変わらず、人手不足が続いています。

 

どうやって分析しているのか?
分かりませんが、
最低賃金が上がっても雇用は減らない!
というのは、
感覚的にも正しい気がします。

 

言われてみれば、その通りだと思います。

 

それにしても、
こんな発見でノーベル経済学賞が
獲れるもんなんですかね?

 

思いもしないようなすごい発見なら、
ノーベル賞にふさわしいと思いますが、
言われてみればその通り!と思うものが
そんなに価値のあるものなのでしょうか?

 

実は、言われてみればその通りなのに、
直感的にそう思えない問題って、
認識するのが難しいです。

 

なぜなら、
人間は、直感的に思い込むと
それ以外に考えられなくなるからです。

 

最低賃金が上がれば雇用は減る
と言われると、それはそうだ!と思います。

 

それ以上考えなくなります。

 

そうすると、
本当は関係ないのに、
雇用を減らさないために
最低賃金を上げないということが起ります。

 

結果、貧困という問題を
いつまでも解決できないことになります。

 

このように、
実際は正しくないことを信じて、
解決の可能性を自らつぶしてしまう
ということがあります。

 

そして、
解決できない問題を
たくさん抱え込んでしまう・・・

 

社会も会社も抱えている問題は
複雑で、シンプルに解決できない
問題ばかりです。

 

だから、
その前提となっているものを
打ち壊さない限り問題は解決できません。

 

今回の発見は、
その前提となるものを
感覚的ではなく、論理的に打ち壊したのです。

 

それが、
ずっと解決できなった複雑な問題を
解決するのに役に立った!

 

だからこそ、評価されて、
ノーベル賞が獲れたのです。

 

かの有名なアインシュタインも

今日我々の直面する重要な問題は、
その問題をつくったときと
同じ考えのレベルで解決することはできない。

と言っています。

 

複雑な問題になればなるほど、
その前提を疑うことからしないと
その問題は解決できないのです。

 

私も、コンサルティングで
行き詰まると、こんな質問をします。

 

「それって、本当なんですかね?」

 

問題解決に行き詰まったら、
前提を疑う質問をしてみるとよいと思います。

 

今日も最後まで読んでいただき
ありがとうございます。

 

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