お金では問題は解決しない

コロナ禍による
雇用調整助成金の支出が
5兆円近くに膨らんで
雇用保険の財源が、
ほぼ底をついているそうです。

 

5兆円という金額が大きすぎて、
ピンとこない感じがしますが、
リーマンショック直後の2009年と
比べて7倍の規模だと考えると、
深刻さが理解できます。

 

それでも、政府は、
雇用調整助成金の特例措置を
来年の3月末まで継続する方向です。

 

そうなると、
雇用調整助成金の原資が不足するので
厚生労働省は、今年度の補正予算案に
2.2兆円を計上するそうです。

 

たしかに、
雇用を守ることも大切ですが、
税金を投入してまで、
このまま、この制度を続けることが、
果たして問題解決になるのでしょうか?

 

私は、コンサルタントして、
問題解決をする時に
頭に描いていることがあります。

 

それは・・・

 

「システム思考」です。

 

世の中で起こっている問題は
「システム」として起こっています。

 

システムで起こっているというのは、
問題が単体で起こっているのではなくて
つながりの中で起っているということです。

 

例えば、
机の上が散らかっているとします。

 

そうすると、
書類を探すのに時間がかかります。

 

時間がかかるので、
仕事の生産性が下がります。

 

仕事の生産性が下がるので
整理整頓する時間がなくなります。

 

整理整頓する時間がなくなれば、
机の上がますます散らかります。

 

このように
単に机の上が散らかっているのではなくて
ループのように一連の流れとして
問題が存在しています。
(良いことも、悪いことも・・・)

 

このループのことを
「システム」と言います。

 

冒頭の雇用保険の財政の問題も
「システム」として起こっています。

 

起こっている問題は、単純で、
入ってくる保険料よりも
出ていく助成金が多いので、
貯まっていたお金(財源)が減っている
という問題です。

 

この問題を解決するには、
この「システム」を変える必要があります。

 

「システム」を変えるポイントのことを
システム思考では、
「レバレッジポイント」と言います。

 

代表的な「レバレッジポイント」は
6つあります。

 

①変数(パラメーター)
目標販売数、価格、 給料など
設定・調整が可能な数値を決めることです。

 

②物理的フローとストック
設備や装置を設けることで、
モノの流れや量を変えることです。

 

③情報のフロー
情報をリアルタイムに見える
ようにすることです。

 

④ルールやインセンティブ
ルールを変えたり、規制緩和したり、
自由度上げることです。

 

⑤目的
ビジョンやミッションを見直す
ことです。

 

⑥社会通念や常識
個人や組織、社会を作り出している
考え方や価値観を変えることです。

 

数字が小さい方(⑥よりも①)が
取り組みやすくはありますが、
変化は小さくなります。

 

つまり、
①は取り組みやすいですが、
根本的な問題解決には
なりにくいということです。

 

そう考えた時に
今回の政府の対応はどうでしょうか?

 

2.2兆円を追加財源として、
今年度の補正予算に計上するのは、
①変数(パラメーター)と
②物理的フローとストックです。

 

お金を投入するだけなので、
表面的な問題解決にしかならず、
根本的な原因や構造を変えるほどの
インパクトはないということです。

 

そうではなくて、
根本的な問題解決をするためには、
④ルールを変えたり、
⑤目的を見直したり、
⑥社会通念や常識を変えるような
打ち手を打つ必要があるのです。

 

公的資金を投入しない!
雇用調整助成金を打ち切るなど、
⑥社会通念や常識を変えるのは、
難しいでしょうから、
⑤目的や④ルールを変える
しかありません。

 

つまり、
雇用調整助成金を
支給する目的を見直したり、
支給率などのルールを見直すことで、
財源不足の問題を解決する必要が
あるということです。

 

たしかに、
目的やルールを変えることは、
簡単ではありません。

 

しかし、
安易に解決する方法を取ったとしても
問題は解決しません。

 

だからこそ、
「ビジョン」と「ミッション」を持って
その「簡単ではないこと」に取り組まないと
本当に問題が解決することはないのです。

 

今日も最後まで読んでいただき
ありがとうございます。

 

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