先日、お客様の会社で
人事制度の説明会をしました。
今回の人事制度の変更は
プロジェクトリーダーに役割手当を
支給しようとするものです。
役割手当の金額は30,000円
プロジェクトリーダーになった人は
昇給します。
悪い話ではありません。
ただし、この役割手当・・・
プロジェクトリーダーになった期間
のみ支給されます。
この説明が終わった後、
「社員さんが喜んでくれるのかな?」
と思ったら、
意外と冷めた反応です・・・
どうして、冷めているのだろう?
そう思って、
ある管理職の方に聴いてみました。
すると、戻ってきた答えが、
「30,000円が下がることもあるんですよね?」
それは、そうです。
常にプロジェクトリーダーでありません。
プロジェクト リーダーでなくなると
30,000円は支給されません。
30,000円がついたり、
外れたりするわけです。
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しかし、
同じ30,000円ですから、
得る喜びも、失う悲しさも
プラスマイナスゼロのような気がします・・・
しかし、実際は・・・
人は得る喜びよりも
失うショックの方が大きい…
30,000円が一時的に増えても、
いつか減るかもしれないと思うと
素直に喜べない・・・
合理的に考えれば、
得られる30,000円と失う30,000円は
同じ価値のはずです。
しかも、30,000円は今まで
支給されていなったものです。
だったら、
素直に喜んでもよいような気がします。
しかし、喜べない・・・
なぜでしょうか?
これが
「限定合理性」という考え方です。
人間は完全に合理的ではない
という考え方です。
この考え方は、
ご存知の方も多いかもしれませんが、
行動経済学の話です。
行動経済学は経済学に心理学を加えたもので
カーネマンとトヴェルスキーは
2002年にこれでノーベル経済学賞を取りました。
(残念ながらトヴェルスキーは1996年に
亡くなっています)
この考え方は彼らによって
「損失回避性」と命名されました。
「損失回避性」 によると、
1000円の利得に1の価値を見出すとしたら、
同額の損失に1.5倍から2倍のマイナスの価値
を見出すと言われています。
つまり、
1000円減るかもしれないという時には
1500円から2000円増えるかもしれない
という期待がないと受け入れられない
ということです。
人は得る喜びよりも失うショックの方が大きい
というのは、この理論にも証明できます。
お金持ちにケチな人が多いのも
この理論で説明ができますね!
このような行動経済学がチームビルディングに
どのような関係があるのか?
と思うかもしれませんね!
チームビルディングの基本は、
「人と人は違う」ということです。
「こんな風に考えるのはオカシイ!」
「あんな風に考えるのは理解できない!」
と感じた時に
人は他人を受け入れらえれなくなります。
でも、
それは自分が合理的だと考えた結果と
違っているだけの話です。
人間の合理性は
限定的なものでしかありません。
今回の話がそうです。
30,000円増えることもあれば、
30,000円減ることもある
賃金制度を作ったほうは、
プラスマイナスゼロ何だからいいじゃん!
と考えました。
しかし、
この制度を適用される社員さんにしてみると
失うもののほうに目がとられます。
人間は必ずしも合理的に考えないということです。
となったときに
果たして自分が100%正しいと言えるのか?
こう考えた時に、はじめて、
相手のことを認められるのではないか?
と思うわけです。
わかるかなぁ~わかねぇ~だろうな~(笑)
By 松鶴家千とせ 師匠
私も頭では分かりますが、
まだまだ、腹落ちはしていません。
でも、今回の役割手当が
まさに「損失回避性」であり、
知ってはいたものの、
罠にハマってしました・・・
あまりに見事だったので、
ブログに書いてみました。
人間、そんなものですね!(笑)
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