先日から、
日野自動車の排ガス虚偽報告問題を
取り上げています。
この問題を調査していた
特別調査委員会の報告書が
組織づくりの落とし穴を知る上で、
参考になるので、
今回も取り上げたいと思います。
【公表情報一覧】
エンジン認証に関する当社の不正行為について
https://www.hino.co.jp/corp/news/2022/20220401-003234.html
■特別調査委員会 調査報告書
2022年8月02日
調査報告書 (全文)には、
社員へのアンケート結果が
掲載されています。
その調査報告書 (全文)の234ページに
こんなことが書かれています。
「この国はトヨタがいすゞが進出しているから
No1トラックメーカーとして日野も進出する」
といった判断をする等、
日野の経営サイズに見合ってない
拡大経営判断を続けた結果、
現有の開発リソースではやり切れない
製品ラインナップ・販売地域を抱えている。実力を超えた
製品ラインナップ・販売地域を有した結果、
万年大赤字の製品/地域を保有している。しかし、「進出」したことが評価されて
「撤退(=進出を決めた上役の顔に対して泥を塗り、
進出が失敗だったと認める」を良しとせず、
結果、赤字と開発リソース逼迫しか生まない
セグメントをずっと持ち続け、
ますます社の収益と開発リソースを追い詰める
負のスパイラルに陥っている。
経営者の方にとっては
耳が痛い話だと思います。
事業を拡大していくというのは
悪い話ではありません。
しかし、
無理に事業を拡大すると
リソース(人材や能力)不足により
事業が行き詰ってしまいます。
私がいつもコンサルティングを
している時に、イメージしているのは、
「マッキンゼーの7S」です。
ハードのS
・戦略(Strategy)
・組織(Structure)
・システム(System)
ソフトのS
・価値観(Shared Value)
・スキル(Skill)
・人材(Staff)
・スタイル(Style)
これらは、
別々にあるのではなく
お互いにつながっています。
つまり、
何が言いたいか?というと・・・
戦略は人材やスキルに
縛られるということです。
どんなに優れた戦略があっても
それを実行する人材やスキルが
なければ、実現できません。
だから、社長さんの頭の中で
上手くいくイメージがあっても、
それを実行する人材がいなければ、
思ったことは実現しない
ということです。
これは、当たり前の話なんですが、
社長さんから出る言葉は、
「どうしてできないの?」です。
できないのは、
できる人材やスキルがないからです。
で、どうするか?です。
大きく分けて、道は3つあります。
1つ目は・・・
戦略をあきらめて、
今いるメンバーでできることを
探す道です。
やりたいことを
あきらめるのは辛いですが、
できないことはできません。
2つ目は・・・
戦略をあきらめずに
今いるメンバーを教育したり
できるメンバーを採用する道です。
そうはいっても
人はすぐにできるようにならないし、
できるメンバーを採用することも
困難です。
そして、3つ目は・・・
1つ目と2つ目の折衷案
戦略をあきらめずに
とはいえ、今できることをしながら
今いるメンバーを教育したり、
できるメンバーを採用することを
やり続けるということです。
おそらく、3つ目の道を
選ぶことが多いのだと思います。
その時に大事なことは、
現状を正しく認識するということです。
今できることをしたり、
人を教育する時に
現場の現状がわかっていないと
負担をかけることになります。
もちろん、
適切な負担がかからないと
人は成長しないので、
負担は必要です。
しかし、負担をかけすぎると、
人が壊れるか?辞めていくか?
できたフリをするか?
現場を投げ出すか?
のいずれかです。
だからこそ、
ちょうどよい負荷をかけることが
大事になってきます。
しかし、ちょうどよい負荷が
あるわけではありません。
状況によって変わります。
だから、常に状況を見ながら
判断する必要があります。
これって、
事業と人が同時に成長する状態を
目指すということです。
しかし、常に、
事業が先に成長し、人が遅れます。
このバランスをとるのは
簡単ではありません。
しかし、人が遅れるのは
明らかなので、
事業が成長した時の
イメージを持ちながら、
人の成長に手を打っておく
必要があります。
それが人材育成なんですが、
結局、事業が成長した時のイメージが
できていないと、
そもそも、人材育成計画など
立てられないのです。
人はすぐにできるようには
なりません。
以下に先回りして、
人を育てるか?が大事で、
人を育てられないと
事業の成長にブレーキをかける
ことになるのです。
今日も最後まで読んでいただき
ありがとうございます。
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