わかっていても止められない

夏休みの最終日に
映画「開戦前夜」を観に行きました。

猪瀬直樹さんの著書
「昭和16年夏の敗戦」が原案に
なっている映画です。

昭和16年春、
日本中のエリートが集められ、
「総力戦研究所」という組織で
アメリカとの戦争の行方を予測する
という任務が与えられました。

彼らが導き出した結果は、
日本の必敗でした。

「総力戦研究所」の予測は、
核爆弾が落とされる以外は、
全て、その通りになっているそうです。

これほど正確な予測ができていたのに、
なぜ、大事な意思決定を
誤ってしまったのか?

それが描かれていた映画でした。

映画の内容については、
事実と異なるとの指摘もあり、
そのまま受け取ってよいのか?
ためらいもあります。

ただ、なぜ、負けるとわかっていた戦争を
選んでしまったのかについては、
わかったような気がします。

結局、意思決定は
「空気」で決まってしまうのです。

「空気?」と思われるかもしれません。

しかし、人は、論理だけでは動きません。

多くの人が同じ方向を向くと、
その空気に、逆らえなくなるのです。

もちろん、
論理的に意思決定する人はいます。

しかし、そうでない人が
大多数になると、
組織全体がその空気に流されて、
逆らう意見を言えなくなります。

映画の中では、
東条英機総理大臣も
戦争を回避しようと奮闘しています。

しかし、
戦争を強行しようとする軍人に
腰抜け!と批判され、
マスコミがアメリカへの敵意をあおり、
世論が好戦的になっていく中で、
戦わずに負けを認める決断は
できませんでした。

負けを認めれば、暴動が起きる。

自分が退いても、
もっと好戦的な人が後を継いで、
結局は戦争に向かってしまう。

それなら、自分で決めた方が、
まだましかもしれない。

やりたくはないけれどやるしかない。

まさに、
「わかっていても止められない」です。

ここで起きているのは、
決める立場の人が、
決めなくてよい立場の人の声に
押し切られてしまうということです。

決める人には、責任があります。

だからこそ、
本当は冷静に判断しなければなりません。

けれども実際は、
責任を負わない多数の声の方が大きく、
そちらに流されてしまいます。

責任を負わない立場だと、
その場の勢いや好き嫌いで判断しがちです。

それが積み重なると、
組織はおかしな方向へ進んでいきます。

そして、これは、
昔の戦争に限った話ではありません。

たとえば、最近の、
コメの高騰やナフサの不足。

現実には「ある」のに、
買い占めや売り控えによって、
足りなくなってしまう。

冷静に考えればしないはずのことを、
社会全体でしてしまう。

つまり、人は、頭で考えた通りには
動かないのです。

同じことは、
私たちの職場でも起きています。

声の大きい人に引っ張られ、
おかしいと思っていても言い出せない。

では、どうすればよいのでしょうか。

大切なことが2つあると思っています。

1つは、判断の元になる情報を、
なるべく早く開示することです。

正しく判断するには、
そのための材料が要ります。

情報が一部の人に閉じていると、
残りの人は「空気」で
判断するしかなくなるからです。

もう1つは、
その情報をもとに、
一人ひとりが自分で判断できる力を
身につけていくことです。

情報があっても、
読み解けなければ、
正しい行動にはつながりません。

ただ、実は、
この2つは簡単ではありません。

情報を開いても、
それを自分のためだけに使い、
抜け駆けする人が、必ず出てきます。

さきほどの、コメやナフサと同じです。

足りているとわかっていても、
先に買い占める人がいれば、
正しく判断した人ほど損をします。

わかっていても止められないという構造は、
壊そうにも、そう簡単には壊せません。

正直、絶望的な気持ちにもなります。

だからこそ、まずは、
できるところから始めるしかないのだと
思います。

自分たちの職場では、
できるだけ、情報を共有し、
みんなで判断する力を育てていく。

「おかしい」と感じたことを、
口に出せる環境を作る。

違う意見を否定せずに対話を深める。

そんなことから始めてみる・・・

それが、組織として、
適切に意思決定ができるようになる
ということなのだと思います。

今日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございます。

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